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茨城県北芸術祭は日立市・高萩市・北茨城市・常陸太田市・常陸大宮市・大子市を舞台とした、日本最大規模の芸術祭です。今年、2016年が初開催。

茨城県民としては、茨城でこういう文化的なイベントを開催してもらえるのはすごーく嬉しいこと。でもだからこそ「流行ってるからやろう的な右へ倣え精神でやってるのでは……?クオリティとか運営とか大丈夫??」と一抹の不満を覚えていたのですが、いざ行ってみると大満足で。大地の芸術祭や横トリと比べても見劣りしないというか、また違った魅力があるなと思いました。

ただね〜、なにしろ広い。会場と会場の間に距離がある。そして、時間は有限。どの会場をどういうルートで回るかが肝です。

私、地図読むのも計画立てるのも苦手で優柔不断。かつ何事も最善を目指すタイプなので、後から「えっアレ行かなかったの?おすすめだったのに」とか絶対言われたくない。前日に「ウッ……考えるの辛い……もういっそ行きたくない……!」となりながらも計画を立てました。


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実際に辿ったルートはこちら。

 <1日目> 11時前東京出発、13時半県北エリア到着。 旧美和中学校→旧和楽青少年の家→常陸大子駅前商店街→袋田の滝→里山ホテル宿泊

<2日目> 鯨ヶ丘商店街→自然休養村管理センター→日立シビックセンター→日航記念館→御岩神社→高戸海岸→穂積家住宅→旧富士ケ丘小学校→五浦美術館 帰りに日立おさかなセンターでごはんを食べて、22時頃東京到着
(※私たちは休暇村→日立シビックセンター→日航記念館と回ってしまったけど、休暇村→日航記念館・御岩神社→日立シビックセンターのほうがいいルートだと思います)

結果としてすごく満足したので、「1泊2日で山も海も楽しみたい!」という人にはいいコースなんじゃないかな。ということで、軽くレポートしますね。

■旧美和中学校

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最初に訪れた旧美和中学校は、パンフレット写真に採用された落合陽一さんの『コロイド・ディスプレイ』が展示されている会場です。

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シャボン膜に映し出される蝶々。機材は6つ置かれていたんだけど、このとき一番鮮明に映った機材は背景が壁のものでした。私も緑をバックに撮りたかった……!

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校長室に設置された『GREAT TEATHER』。小学生の頃を思い出して、ふふっと笑ってしまう。

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これ地味に好き。「右にメリヤス(めぇりやす)」「止メリヤス(めぇりやす)」をメリヤス編みで表現。

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飛行機を動かすとレンズの先の映像が変化する『Fly Me to the Earth』。

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『WOODSTOCK』。美和の木材で埋め尽くされた部屋。

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私、これ好きだなぁ。絵本の中に入り込んでしまったような感覚になれる『CALAR.ink』。アリスっぽい世界観。

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部屋の中は一見するととてもカラフルだけど、実は色はプロジェクションマッピングで投影されたもの。参加者の働きかけで部屋が鮮やかに色づいていく、インタラクティブな作品です。

あ、写真撮ってないけど、『Sound of TapBoard』『KYO-ZO』も良かった。個人的に、旧美和中学校はマスト会場だと思います!


■旧家和楽青少年の家
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ワン・テユ『NO.85』。バルーンの薄い膜で覆われた部屋の中を自由に歩き回れる作品。一歩踏み出すごとに空気の流れが変わって目の前の景色も変わる。一面真っ白の砂漠を歩いているかのような、不思議な感覚に陥ります。


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圧巻だったのが『ブラックフィールド』。体育館の床一面に敷き詰められた白黒の花。その数なんと2万5千本!一体どれくらいの時間をかけて製作したんでしょうか。儚げな繊細さにため息をつきつつ作品の周囲を歩いていくと……

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裏側は鮮やかに彩られていたのです!!わーーー!!!視線をぐるりと向けると、白黒の世界がぱあっと色づいていく。この感動は現場に行かないと味わえないので、ぜひ自分の目で確かめてほしいです。一番印象に残った作品でした。

■袋田の滝
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袋田の滝に続くトンネル内を照らすジョン・へリョン『連鎖的可能性ー袋田の滝』。滝や川の流れをイメージしたとのことだけど、ちょうど胎内観音が祀られている場所ということもあり、へその緒のようだな、と感じました。

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滝は本当に圧巻の一言。澄んだ空気と水音が心地いい。

■里山ホテルときわ路

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 宿泊したのは『里山ホテルときわ路』。 庭に設置された特設テントで里山グランピングしました。土の匂い、草の匂いがふわぁっと立ちのぼり、虫の声を子守唄に眠る。中にはあったかい寝袋や電源、ライトが用意されていて、本館のお風呂やトイレを利用できるので、便利に気軽にキャンプ気分を味わえます。ただ、枕はないので用意したほうがいいかも。


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ラウンジを彩るのは結束バンドでできた吊るし飾り。「井戸端アート」として紹介されていました。発酵をテーマにした夕食は体にじんわり染み入る美味しさ。ちょっと高いけど、それだけの価値はあるのでぜひ。

■鯨ヶ丘商店街

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2日目は早起きして鯨が丘商店街へ。『サインズ オブ メモリー 2016:鯨ヶ丘のピンクの窓』は、まちの人へのインタビューから抽出した言葉を、建物の窓や扉にパネルとして貼り付けた作品群。ほとんどの会場は開場時間が9時〜17時前後だけどここは時間関係なく見られるから、早く行って回っておけばその分ほかの作品を見る時間が増えるのです。くすっとしたり、切ない気持ちになったり、まちの歴史や住民の人柄がわかる、いい作品だなと思いました。

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商店街自体は丘の上にあって、物語の舞台になりそうな情緒ある街並でした。気持ちよく散歩できるまち。

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茨城の地図を組み合わせた架空の町をベビーパウダーで表現した『イ/バ/ラ/キ』。細やかさに目眩がしそう。
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北澤潤さんの『リビングルーム』。ちょうど小学生たちが社会見学に来ていて、微笑ましい光景が広がっていました。

■旧常陸太田市自然休養村管理センター

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ここはねえ、最先端の科学技術×アートが展示されているんだけど……正直難しくて……。里山ホテルの従業員さんが「玄人向けだと思う」と言っていたけど、ほんとその通り。居合わせた老夫婦と「どういうことなんですかねえ……?」と首を傾げてしまいました。ド文系にはおすすめできかねる……。理系の人は行ったらいいんじゃないかな。

■日立シビックセンター


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ウランガラスのシャンデリアで各国の原子力発電所の大きさを表現した『クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会』。

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『小さな世界』のオルゴールのメロディに合わせてゆっくり回転する妖精。羽根は、放射能を浴びた福島県広野町のヤマトシジミの剥製。メッセージを込めた美しさ。
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駅前に置かれた『ノアのバス』。中は植物に覆われ、ウサギやモルモット、鳥がまどろんでいました。不思議な光景。

■御岩神社

日航記念館の作品はサイトの写真を見て楽しみにしてたんだけどそれはアーティストの過去作品で、今回の作品も“触れる彫刻”の筈だったのに壊れたため触れなくなったとのことで、二重に期待外れでした。なのでスルーしてもいいと思います。

その分、御岩神社ではたっぷり時間を取ってほしい。広大な森の中にある、厳かな雰囲気の神社です。

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ここね、すごーく気持ちのいい場所でした。清涼な空気がすうっと心身を通り抜けるような。ここに来るためだけにまた県北エリアを再訪したい、と思ったくらい。神社好きなら堪らないんじゃないかな。

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作品も良かったです。『杜の蜃気楼』。

■高戸海岸

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海岸にどーんと展示された『落ちてきた空』。

■穂積家住宅

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『ウェブ・オブ・ライフ』。これ、よく見ると顔なんですよ。いろんな表情があって面白い。

■旧藤ケ丘小学校

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『HIBINO HOSPITAL』に『今ここにある宙(そら)』。

■五浦美術館

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チームラボ『小さき無限に咲く花の、かそけき今を思うなりけり』。湯のみを動かすとそこに蕾が生まれて花が咲き、動かすと散ってゆく。デジタルアートの最先端感と、花の美しい儚さと。

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 この作品も情緒があっていいよね。東京でも見たけど。チームラボの作品は確かに素晴らしいんだけど、上の湯のみの作品以外は東京でも見られるから、無理して行くこともないんじゃないかと思ったり……。あ、でも東京だと大抵激混みだから、ゆっくり作品を楽しみたい人にはいいかも。

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六角堂は時間切れで行けず。でも、夕暮れの海がとても綺麗でした。帰りは日立お魚センターに立ち寄り、シラスやふぐ、海鮮丼を満喫。いい2日間でした。

■まとめ

・私が特に気に入った作品は、『ブラックフィールド』『CALAR.ink』『クリスタルパレス:万原子力発電国産業製作品大博覧会』。あと、作品じゃないけど御岩神社。全部南のほうに集中しているので、常陸大宮→常陸太田→日立というルートで回ってもいいかもしれません。いまの時期だと、ひたち海浜公園のコキアも見頃のはず!

・会場の名前をカーナビに入れてもヒットしないことが多いので、公式サイトに掲載されているエリアマップで各会場のマップコードを確認して直接入力するといいと思います。エリアマップは各会場でも入手できるよ!

(運営側にはぜひサイトにエリアごとのページを設けることをお願いしたい……このエリアにはこの会場があって、この会場にはこの作品があって、というのがわかるようにしてほしい。どこに何があるのか把握するだけでも一苦労でした。折りマップも、広げると大きすぎるし折り畳むとわからなくなるし、なので冊子タイプにしてもらえるとありがたいなぁ。あと、県民以外は地名の読み方がわからなかったりするから、ふりがなを振ったほうがいいと思う)

・平日に行ったからかもしれないけど、スタッフも来場者も40〜60代と思われる人が多かったのが印象的でした。横トリや大地の芸術祭は若者が大半だった記憶があるので、余計に。それだけ芸術祭というものが一般に浸透してきたということなのか、実は茨城県民は文化やアートが好きなのか。うちの父母も行くと言っていたので、感想を聞いてみようと思います。

・山も海もまちも文化・科学施設もフル活用していて、「茨城にこんなところがあったんだ」という新鮮な驚きの連続でした。茨城県民と言っても私は県西寄りの出身だから、県北エリアのことは全然知らなかったんだよね。今回こうして訪れてみて、「茨城やるじゃん」と見直したし、「季節を変えてまた来たいな」と思いました。茨城県民のみなさんにはぜひ行ってほしいです。地元の魅力を再発見できるはず。

もちろん他県のみなさんもぜひ。東京からは車を2〜3時間走らせれば着きますよ。休日にドライブするにはぴったりだと思います。

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茨城県北芸術祭(https://kenpoku-art.jp/
2016年9月17日〜11月20日

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